慢性硬膜下血腫
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慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫という病名は一般的にあまりなじみがないかもしれませんが、脳外科領域では比較的よく見られ、特に高齢者に多い病気です。

この病気は診断が容易で、比較的簡単な手術で治すことができます。しかしその一方で、認知症などと間違われて診断がつかなければ長期に放置される可能性もあるため、一般の方にも知っておいていただきたい病気です。

病名にもある「慢性」とは、ゆっくりと長い経過をとって症状が発現するという意味です。

次に「硬膜下」は、血液が溜まる場所のことを指しています。
硬膜は脳の周りにある固い膜のことで、頭蓋骨の内側にあります。硬膜下とは、この硬膜と脳の間にある隙間を指します。
そして「血腫」とは、出血した血液の固まりです。

つまり慢性硬膜下血腫は、「硬膜下に徐々に出血が溜まってくる病気」ということです。

病因

さて、そのように出血を起こす原因となるのは、頭部の外傷です。

ただし、外傷といっても激しいケガをしているケースはむしろ少ないです。柱に頭をぶつけたとか、尻もちをついたなどといった、ごく軽いものが原因であることが多く、原因となった外傷が特定できないこともあります。
また、慢性という病名の通り、外傷が起きてから徐々に出血が溜まり、1~2ヶ月たってから症状が出てくることが多いです。

よって、出血と書きましたが、これは俗にいう出血とはかなり異なる病態であることがわかります。

通常の出血は、破れた血管から血液が直接外に出てくる状態を指します。しかし慢性硬膜下血腫の場合は、外傷後にできた硬膜下の被膜に血管の新生が起こり、その血管から血液成分が、壁を漏れ出てくるような状態と考えられています。

症状

頭痛や吐き気、さらに歩行障害などが初発症状として多いです。高齢者の場合には、認知症が症状として出るケースもあり、放置されることがあるので注意が必要です。

さらに進行すれば、手足の麻痺や意識障害をきたし、最悪の場合には死亡する可能性もあります。

診断

診断は、頭部CT検査や脳MRI検査で行います。

手術

軽い場合は内服や経過観察で治癒することもありますが、症状がある場合には手術が必要になります。
手術が必要な際は、当院の医療連携病院を紹介します。

【医療連携病院】
・聖路加国際病院
・昭和大学江東豊洲病院
・東京都済生会中央病院
・虎の門病院
・JCHO 東京新宿メディカルセンター
・日本医科大学付属病院

局所麻酔で頭皮を4㎝程切開し、直下の頭蓋骨に径1㎝程の穴をあけて手術を行います。 血腫の被膜を切開し、貯留した液体状の血腫を洗い流し、生理食塩水で血腫腔を洗浄します。 30分程度で終わる手術です。

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